ー クローバーと蝶がかわいい ー
【いにしえ酒店】古酒・熟成酒専門店に行ってみた!いにしえの日本酒を体験レビュー
JR品川駅から徒歩11分、京急北品川駅から徒歩4分。古民家をリノベーションした複合施設「SHINAGAWA1930 」内に、古酒・熟成酒専門店「いにしえ酒店」があります。
店内に立ち並ぶたくさんの古酒・熟成酒はすべて試飲できて、気に入ったお酒は在庫があれば購入もできます。
今回は、かねてより行ってみたかった「いにしえ酒店」に行ってみた筆者の体験レビュー記事となります。
楽しみすぎて前日眠れなかった筆者ですが、じっくりと古酒たちを堪能してきたので写真とともにご紹介していきます。
「いにしえ酒店」に行ってみたい人、古酒や熟成酒に興味がある人におすすめの記事となっています。
→いにしえ酒店オンラインストアへ\ 古酒・熟成酒専門店 /
北品川の「いにしえ酒店」へ
いにしえ酒店は2016年11月に杉並区方南町で開業。2021年5月に品川区北品川へ移転しました。
旧東海道沿いにある品川浦そばの古民家を改造した複合施設「SHINAGAWA1930」内の一区画。特にいにしえ酒店は居住地区に隣接しているため、施設周辺では節度をもったふるまいをぜひお願いいたします。
いにしえ酒店からの大事なお知らせ。
- 食べ物の持ち込みはNG
- 飲酒を目的とした利用はNG
※試飲のみの利用もOKです - 施設周辺での飲酒・携帯電話の通話・立ち話その他騒音を生じるような行為はNG
「いにしえ酒店」に到着
JR品川駅の港南口を出て、品川インターシティのスカイウェイを抜けてと、歩いて12~13分ほどでSHINAGAWA1930に到着。
ソーシャルカフェ「PORTO」の奥にあるのが「いにしえ酒店」です。
ようやく到着!ワクワクするね。
[「いにしえ酒店」で試飲!
解放された引き戸から入店すると、ずらりと並んだ古酒・熟成酒たちがお出迎えしてくれます。
先客があり、スタッフの齋藤さんが対応中のため古酒たちをながめながら待つことに。齋藤さんは平日はサラリーマン、土日は「いにしえ酒店」で古酒・熟成酒のスタッフをしたり「いにしえLABO」で講師をしているスーパーマンです。
すぐに声をかけてくださり、気になる古酒をたくさん試飲させてもらいました!
①『afs アフス原酒』木戸泉酒造
まず初めに、古酒を知るきっかけとなった木戸泉酒造(千葉県いすみ市)のお酒からいただきました。こちらは古酒ではありませんが、古酒のパイオニアである木戸泉酒造の代表銘柄です。色合いが美しい。
よく冷やしてグラスで飲むのがおすすめです。
afs アフス原酒(2,121円 500ml/ 試飲325円)
酸みが高い!甘みもあるのですが酸みですっきりと飲めて、日本酒というより白ワインのようです。独特な甘酸っぱさがおいしい。
ワイン好きな方にもおすすめしたい。
木戸泉酒造を含む千葉のお酒のレビューもしてます。
②『秘蔵古酒十年熟成』木戸泉酒造
お次は、また木戸泉酒造の熟成酒に行きます。とても人気のある秘蔵古酒シリーズで、ミニサイズのセットもあるくらい。
今回は一番人気があるという十年熟成をいただきます。
十年熟成はすでに完売していて、人気の高さを感じました…!
秘蔵古酒十年熟成(3,536円 720ml/ 試飲366円)
紹興酒のような熟成香があります。やはり酸みがありますが、旨みもあって味わい深い。熟成酒、おいしいです!
こちらはとても人気があり品薄です。
ふるさと納税品で、ミニボトルセットがあるよ!
③『夜の帝王 Forever』藤井酒造
今度は藤井酒造(広島県竹原市)の夜の帝王 Forever。純米酒の限界を目指したお酒で、アルコール度数は20%!数量限定品となっており、今回いただくのは2020年醸造で2年熟成させたもの。
夜の帝王 Forever(1,980円 720ml/ 試飲200円)
強い度数をマスキングしてしまう濃醇な旨みと甘み。それなのにキレのある酸みでぐいぐい飲めてしまう。危険なお酒です!おいしい…。購入リスト入りです。
高アルコールのイメージを覆す、すっきりした甘口のお酒です。
遊び心のある名前に油断していると、『夜の帝王』のあまりのおいしさに驚くよ。
それ、自分のことだね…。
④『熟成酒 蔵守 きもと純米吟醸 2017年』小澤酒造
小澤酒造(東京都青梅市)は元禄15年創業の老舗酒造。都民歴が長かったので「澤乃井」という名前は聞きなじみがあります。街のそこかしこに「澤乃井」の看板があったのに、意識して飲むのは今回が初めてです。
熟成酒 蔵守 きもと純米吟醸 2017年(2,037円 720ml/ 試飲211円)
口元に持ってくると紹興酒のような香りがただよいますが、あとから華やかな香りがぱぁっと広がりおいしいです。こんなお酒もあるのですね!
これが熟成酒ならではのおいしさなのでしょうか。入口からの変化が大きくて楽しい。これは買って帰らないと!初体験の感覚が楽しいです。
『澤乃井 東京蔵人(とうきょうくらびと)』を熟成させたものが『蔵守』になるそう。『東京蔵人』はいくつもの賞を受賞している純米吟醸酒で、バランスに優れたお酒です。
こちらも購入リスト入り。在庫がありますように。
⑤『車坂 山廃 純米大吟醸 2018年』吉村秀雄商店
吉村秀雄商店(和歌山県岩出市)は山廃や生酛などの伝統的な造り方で日本酒を造る大正4年創業の酒蔵。2013年から藤田晶子氏が杜氏を務めます。
車坂 山廃 純米大吟醸 2018年(2,035円 720ml/ 試飲210円)
いぶしたようなスモーキーな香りです。一口飲むと、香りは華やかですがキリっとした飲み口。お刺身とともにいただいてみたい。辛口好みな人におすすめ。
おいしい熟成酒がぞくぞくと登場します。筆者の頭にある購入リストがガチャついてきました。すべて持ち帰りたいけれど、体力には限りが…!
⑥『龍勢 ゆらぎの凪 2020年』藤井酒造
こちらは『夜の帝王』と同じく藤井酒造のお酒。藤井酒造のフラッグシップ酒である『龍勢』は、日本初の全国清酒品評会(1907年)で最優秀第一位にかがやいた銘酒です。こちらも生酛仕込み。
100年以上前から存在していた歴史のある日本酒なんだね…!
龍勢 ゆらぎの凪 2020年(1,760円 720ml/ 試飲200円)
わたあめのような甘い香り。味わいも香りも透明感があります!広島県の代表的な酒造好適米「八反35号」の香りなのでしょうか。シリーズのほかのお酒も飲んでみたくなります。
味わいも甘いのかと思いきや、意外にも淡麗ですっきりとした飲み口。ゆらぎの凪も買って帰りたい。
⑦『二十年常温熟成古酒』吉村秀雄商店
ふたたび吉村秀雄商店(和歌山県岩出市)のお酒が登場です。こちらはなんと20年熟成。ラベルのない一升瓶に、なんとも貫禄を感じます。
この辺りから棚の写真を残しておらず、正確な試飲価格がわからないため割愛します。すみません…。
20年ものの熟成酒も試飲できるなんて、すごいね!
二十年常温熟成古酒(3,982円 ※一升瓶)
やはり紹興酒のような香りが強いです。きれいな琥珀色で、カラメルのような風味で甘みもあります。そして酸っぱい!やはり古酒となると酸みが強いですね。貴重なお酒をいただきました。
⑧⑨『長良川』小町酒造
創業明治27年の小町酒造(岐阜県各務原市)は、鵜飼で有名な清流・長良川の中流にある酒造。一年を通して宮下富実夫のヒーリングミュージックを蔵内に流しています。
クリスタルボトルがなんとも美しい、飾っておきたくなるような熟成酒です。2本同時にご紹介。
長良川 T-406 山廃 純米大吟醸熟成酒 2005年(4,351円 720ml)
酸度 5.8で酸みがすごい!ビネガーのような酸っぱさです。日本酒度 -8なのですが、もはや甘みは感じません。これは、すごいです。
EXILEの橘ケンチさんがお好きな銘柄なんだとか。すごいです。
長良川 T-3 大吟醸熟成酒 1998年(5,830円 720ml)
こちらは同じく長良川の熟成酒。ですが味わいはまったく違いました。吟醸香はシイタケのようで、旨みと酸みを感じます。こちらは熟成酒感があり、奥行きのある味わい。やはり紹興酒のような独特の熟成香があります。
酸度 1.6、日本酒度 +1、アミノ酸度 1.7。
⑩『アフス extra sour 2017年』木戸泉酒造
最後はやっぱり木戸泉酒造。afsの中でも最も酸みが高い『extra sour』をいただきました。こちらもかなりの限定品。
アフス extra sour 2017年(2,776円 500ml)
予想通りですが、酸みが本当に強い。サッパリとした飲み口ですが、旨みもあります。でも、やっぱり酸っぱいー!と言いながら飲みきりました。
飲みきったんだね…。
今回の試飲はここまでです。本当は龍勢のほかの種類も試飲したかったのですが、また次回。
色々な日本酒・熟成酒を試飲できて本当に楽しい時間でした。「いにしえ酒店」とスタッフの方と、日本酒に感謝!
「いにしえ酒店」の店主
EXILE 橘ケンチさんと店主 薬師さん
いにしえ酒店・Instagramより引用
ここで「いにしえ酒店」店主・薬師氏をご紹介します。写真はディスカバージャパン 2022年6月号に掲載された「古酒・熟成酒の魅力やロマン」をテーマにした対談を行った際のものです。
薬師氏はどうして古酒・熟成酒専門のお店を開こうと思ったのでしょうか。じつはお酒が弱いという薬師氏の経歴はこちら。
「日本酒の熟成文化を知ってもらいたい」
ヴィンテージワインのような長期熟成の文化は、日本酒においてはあまり浸透していません。日本にも熟成酒を楽しむ文化がありましたが、明治時代の酒税法の改定などで日の目を見なくなりました。
新酒などフレッシュなお酒を好む文化があるから、ボジョレーの人気が根強いのかもね。
日本酒も熟成という価値を備えることでヴィンテージとしての価値を上げることができますが、そもそも古酒・熟成酒の認知度がありません。そのため薬師氏は「酒を売る」よりも「酒を体験する」ことに主眼をおくことにしたそうです。
イベントスペース「いにしえLABO」で古酒・熟成酒を楽しく体験してもらい、まずその存在を知ってもらう。そして古酒・熟成酒の認知度を高めていくことで、日本酒の古酒の市場を広げていきたいということです。
お酒を体験できるコンテンツで、古酒・熟成酒ファンを増やすんだね!
※この項目の情報はSAKETIME「酒屋情報」を参考にしています
「いにしえ酒店」
2016年11月11日に杉並区方南町で薬師 大幸氏が「いにしえ酒店」を開業。
北品川に移転「酒を売らない酒屋」へ
2021年5月5日、方南町から北品川に移転。古民家をリノベーションした複合施設「SHINAGAWA1930 」の一区画に出店。
150種類のお酒を取り扱っており、一番古い古酒は1968年醸造。全てのお酒は試飲できます。
【試飲】45ml:200円~
1階は日本酒の古酒・熟成酒販売所で、2階は実験と体験の場、いにしえLABO。
\ 申込みはこちらへ /
「いにしえ酒店」まとめ
古酒・熟成酒には「早く飲まないといけない」という従来の日本酒感が当てはまりません。今回うれしかったことの1つに「たくさん買っても、急いで飲まなくて良い」が当てはまります。
筆者はお酒が強くないため、四合瓶であっても飲みきるのに時間がかかります。
そのため通常の日本酒だと「早く飲まないと!」とプレッシャーがあるのですが、熟成酒の場合は「ゆっくり飲みすすめて味の変化をみよう」「こっちの瓶は開栓しないでしばらく置いておこう」と自分なりのペースで飲みすすめることができるのです。
もし多めに買っても、焦らずマイペースで飲める。
日本酒が気になるけれど、お酒が強くないから心配という方、そんな方にこそ古酒・熟成酒が合っているかもしれません。
ぜひ一度「いにしえ酒店」に遊びに行ってみてください。
最後までお読みくださりありがとうございました!
今回登場した木戸泉酒造のお酒レビュー記事